40年ほど前に脳血管造影で映し出された異常血管像が、たばこの煙が立ち上るように「もやもや」と見えたことから日本で命名された脳血管の病気です。欧米人に比べアジア系民族(日本人が最多)に約10倍多く、女性が男性の1.8倍。小児では、吹奏楽、熱いものを吹いて冷ます、激しく泣くなどの過換気状態で誘発される虚血症状(手足の脱力・言語障害・意識障害など)が特徴で、5歳前後に症例数のピークがあります。脳虚血症状には、数分で改善する一過性脳虚血発作と、症状の残る脳梗塞があります。他には脳出血型(成人例に多い)、てんかん型、不随運動型、頭痛型があります。病気の本態は、脳に血液を送る左右2本ずつの大きな動脈で形成されるウィリス動脈輪(一本が詰まっても他から血液を回す安全装置)の異常による脳血流の供給不足です。虚血発作を繰り返すごとに麻痺や知的障害が進行増悪する例があり、まず疑うこと、そして早い時期にCTやMRIにより脳梗塞や「モヤモヤ血管」を証明して診断すること、それを治療や理学療法(リハビリ)に生かしていくことが大切です。泣いたり、風船を膨らませたり、フーフーと息を吹きかけたりしたときに、ボンヤリする、力が抜けて倒れる、持っているものを落とす、一時的に言葉が出なくなるなどの症状があれば、「モヤモヤ病」を考えてみる必要があります。
参考資料
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